待ち人

2/2
前へ
/1039ページ
次へ
「お嬢様なら、初詣においでです」 緋の地に色とりどりの花模様の入った振袖をお召しで。 「お帰りは少し遅くなるかと」 こちらは話しながらあかぎれの酷い右手に左手を重ねる。 「構わない」 あの人は傲慢な程はっきり言い切ると、小さく言い添えた。 「君に会いに来た」
/1039ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加