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「……一体なんだったんだ、あいつら?」
「……利亜銃爆発支路隊。イチャついているカップルをからかうことに生き甲斐を感じている奴らだ」
「はぁー。てことは俺らカップルと間違われたのか。にしてもくだらん挑発を。あんなのに対抗心を燃やす様な奴もいないだろうに。なあ、紫紅美?」
「……そうだな。ところで雅文くん、一ついいだろうか?」
一旦バイクを停め、俺を振り返る紫紅美。その表情は、笑顔。ただ一つ、目だけが笑ってなかった。
「時速180km以内なら、大丈夫だよな?」
「は?」
ドゥルンドゥルンと、重厚感のある音がマフラーから響く。同時に頭を掠めるは、嫌な予感。
「待て、紫紅美。わかってるか?一般道路には、道路交通法というものがあってだなーーーーッッ!!」
俺の長ゼリフは、疾走バイクに歯向かう風の音にかき消された。
「ーーにしても、さっきのバイクだっせぇよな?」
「言えてる言えてる。俺らにビビって追いかけもしないとかーー」
ビュンッッ!!
「……今、なんか通ったか?」
『さ、さぁ……?』
およそ一時間後。我に返った紫紅美の後ろで、俺が泡吹いていたそうな。
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