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「恥ずかしい場面を見られた挙げ句、フラれた所申し訳ないが、言わせてもらう。……ざまあwww」
今この瞬間ほど、手元に武器が無いのを呪った事はない。それほどまでに殺意が溢れだした。
「ふっ。さぁて、雅文が盛大にフラれてキゲンがいいのでぇ、ナンパでもしてくるとしようかな。ああ、雅文。ハンカチは美穂ちゃんに借りるといいよ。ふーはっはっは!」
言うだけ言って、啓は他の女性客達が集まってる方面に向かっていった。今度、紫紅美がアイツをあの世に送ろうとするなら、全力で応援しよう。俺はその時、そう心に決めた。
「すまない、二人とも。少しお手洗いに行ってくる」
紫紅美が席を外す。その場に残されるは、俺と錦田。
「……まあ、なんだ。錦田。立ってるのも疲れるだろ。とりあえず、座ったらどうだ?」
「…………」
そのまま黙って隣に座る錦田。やはりというか、返答はない。まあ、分かってはいたが。
無駄かもしれないが、話題を振ってみよう。
「なんか、悪いな。いつも啓が迷惑かけてて。あんまりうっとうしかったら、黙って離れたら多少はおとなしくなると思うから、次から実践してみてくれ」
「…………」
やはり無言。まあ、仕方ないか。学校でも話すの見た事ないし。多分、話すのが苦手なんだろう。無理やり話させるのは良くない。
「……うっとうしく……ない、よ」
「へっ?」
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