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「んー。まあよかろう。考えておいてあげよう。精々感謝するんだね」
完全に天狗になってるバカには、いつか正義の制裁をせねばなるまい。
あちらこちらから浴びせられる罵声と軽蔑の視線に耐えきり、教室に入る。
「……おは」
「女の敵!」
「最っ低!」
「家に帰れーー!」
扉を開けるなり、女子を筆頭とした罵詈雑言の雨嵐。……本当に帰ろうかな。
心が折れかけてる俺の近くに、寒菜がてくてくとやって来る。
そして俺とクラスのみんなを見た後、首をかしげる。どうしたの、とでも言いたそうだ。
「ああ……ちょっと誤解がな」
「…………」
自分を指差して、口をパクパクとさせて何かを訴える。口の動きから察するに、「私に何かできることある?」って聞いてるのか?
「寒菜……。俺は、何もしていない。それだけ信じてくれれば充分だ」
「錦田ちゃん、何してるの!その人から離れて!」
「あの人に近づいたら泣かされるよ!」
「…………」
フルフルと一生懸命首を横に振るも、女子たちによって俺から離される寒菜。
未だ敵対心の強い視線が浴びせられながら、ニタニタ笑ってる啓を置いて、席に着く。
隣の席を見やるが、紫紅美はまだ来ていないようだ。
そんな事実を確認していると、教室の扉が開き、
「すぅ~~…………。鳴神出て来~い!!ウチと決闘だぁ~~!!」
新たなトラブルの種が、鼓膜を突き破りかねない声量でカチコミに来た。
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