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「じゃ、じゃあどうぞ」
彼は顔を赤くしながらゆっくりとメガネを外して彼女に差し出しました。彼は彼で自分の素顔を見られるのに恥ずかしさを覚えているようです。彼の方も大概可愛らしいですね。
「なんでこっち向いてくれないの?」
「なんとなくだよ。それに一斉に見ないとずるいだろ?」
「ずるいって…。まあいいけど」
顔をそらせながらメガネを差し出す塚田くんの心情を読み取れず宮本さんは首を傾げながらもメガネを受け取りました。
彼女は塚田くんに顔を見られないよう彼に背を向けながらメガネをかけました。つまり今、彼らはお互いに顔を背けた状態にいるのです。しかも二人とも顔がこれでもかってくらい赤く染まっています。ホント見ているだけで恥ずかしくなってきます。
そして数秒たって2人が声をそろえて
「「せーの」」
そう言ってお互いの顔を一斉に向け合いました。
すると、お互いに顔を見あったまま固まってしまいました。
何度も言いますが私には彼らが何を考えているかが手に取るようにわかります。固まったままの2人が考えていたことは言うまでもなく一致していました。
「「全然見えないな」」
声をそろえてそう口にした彼らを見て、私はとうとう我慢できずに吹き出してしまったのでした。
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