好奇とメガネにテレパシーを添えて

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「ありがとう」 とりあえず僕が礼を言うと、彼女はどこか気まずそうな表情でさっとこちらから目をそらせた。なんだろう?何か変なことを言っただろうか。 しかし、そう思ったのもつかの間。彼女はすぐに切り替えたかのようにその小さな顔を再びズイッとこちらに近づけてきた。 「ねえねえ。塚田ってさ、小さい頃からメガネかけてるの?」 何を言われるのかと思ったら、そんなどうでもいい質問を投げかけてくる彼女に対して僕の頭の中の疑問符はますます大きくなるばかりだった。 とりあえず「ああ、まあね」と僕が答えると、彼女は真面目な顔をそのままに言葉を続ける。 「そんなに目悪いの?」 「そうだね。外したらほとんど見えないから無闇に外せないんだ」 僕の言葉に再び彼女はどこか暗澹たる表情を浮かべた。あまりにも顔の移り変わりが激しいので、僕の方も軽くパニックになってしまうが、それが態度に出さないようにだけ注意する。
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