好奇とメガネにテレパシーを添えて

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数秒間、彼女は何かを考えるようなポーズを取っていた。もちろん彼女の考えなど僕にわかるはずもないし「何を考えてるの?」なんて疑問を投げかけられるような関係でもない。曰く僕はその数秒間、ただただ彼女の次の言葉を待つことしかできなかった。 そして、次の瞬間。彼女の表情はまるで心の中に雷鳴が走るかのごとくパッと明るくなった。 「塚田ってさ、誰かに似てるって言われたことない?ほら、芸能人でさ」 「え?」 「絶対似てると思うんだよね。あー…でもちょっと思い出せないな。メガネはかけてなかったと思うんだけどさ」 最初何を言われているのかよくわからなかった。それがあまりにも突拍子もなく、あまりにも話の流れを無視した内容であったからだ。 自分でもうろたえてしまっていることが分かる。かっこ悪いのであまりオドオドしたところを見せたくないのだが、それはもう僕の本性だから仕方ないと言うしかない。 しかし、彼女はそんな僕の心境など意に介さないかののごとく、鼻を膨らませながら口を開いた。 「ちょっとメガネ外してみてよ」 それは僕にはどこか、彼女が意識して平静を装おうとしているようかのような口調のように思えた。
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