黄色い悲鳴の代償

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わたしは昨日、大好きな男性アイドルグループのコンサートへ行き、これまで出したことのないほど大きな声で、黄色い悲鳴をあげた。 そして翌日の今日、そんなわたしと顔を合わせた彼氏が、わたしがおはようと言うと、途端に顔をしかめた。 「なんだ、その声」 わたしは昨日、声を出し過ぎて、喉を潰してしまっていた。 出す声は、自分でも違和感ありありのハスキーボイス。 「俺にはさ、関西に親戚のおばさんがいるんだけどさ。そのおばさん酒好きで、カラオケにもしょっちゅう行って遊んでるんだけど、真面目な仕事人間である旦那のこと、けちょんけちょんにバカにすんだよ。おまえの、その声さ、そのおばさんの声そっくりで、なんか腹立つんだ。だからその声、元に戻るまで、俺に話しかけるな。じゃあな」 彼はそう言うと、わたしから離れて行った。 1人で楽しんだ代償は思いのほか大きかった。
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