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「私が調査したところ、どうもその人物の『メガネ』にチカラの理由がありそうなんです。それを外すことができれば、あなたたちは私をも超えた存在。まさしく節目の113期主席卒業に相応しい存在と言えるでしょう」  アドラマリクの言葉に2人は少し高揚したのか、目に移った松明の炎が輝きを増した。 「そこまで言われたら、やってやらざるを得ない」 「ロノウェより格上だってこと、ハッキリさせてやるる~」  教え子たちへにこやかな笑みを送りつつ、アドラマリクは魔法陣の中央に置いてある黒水晶に手をかざす。  しばらくすると、黒色の煙が晴れるように水晶からぼうっと白い光が漏れはじめ、何かの映像が映し出された。  3人で顔を並べてのぞき込む。  水晶の向こう側には、黒縁細長のメガネをかけて自転車を駆る男性の姿があった。 「なんか貧弱そうな顔してるる~」 「彼の名は、新田有登(にったあると)。日本の高校生で先日17歳になったばかりです。どちらかと言えば気が弱く、悪人と呼べるような人物でありません」 「でも、サモナーから依頼があったってことは、こいつのこと恨むなりしてる人がいるんですよね?」 「それはそうですが、まあ運悪くそういう人に目をつけられてしまったというか」 「どっちにしても、この子のメガネを先に外せば勝ちってことだろろ~」 「先ほどは話が途中になりましたが、このミッションには条件があります」  アドラマリクは、水晶の中の映像をオフにして2人に向き合った。 「一切の魔力を使うことを禁じます。そしてあなた方は人間の姿になり、人間が使用できる能力の範囲内で彼のメガネを外させるのです」 「「えっ、えええ!」」 「ちょっと特殊ではありますが、あなた方の魔力以外のチカラを見せてもらいたいんです。今後立場ある召喚悪魔になれば、そのチカラが試される局面もあることでしょう」 「急に言われても、魔力以外って具体的に何ですか?」 「知力や体力、運といったところでしょうね」 「そんなのよくわかんないし。学院じゃほとんど魔力しか教わってない気がするる~」
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