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一年生、俺はまだ友達が居ない。
友達なんかより、やらなきゃいけないことがあったから。
山口先生は、化学基礎担当だった。
他にも二、三クラス持ってるらしい。
残りのクラスは神崎先生っていう先生が教えてるんだって。
「化学基礎は担任の僕が担当します。専攻は物理ですが、理科全般は出来ますので何か気になることがあれば遠慮なくどうぞ。」
淡々と言葉を紡いで、山口先生はチョークを持って黒板に向き直りテキパキと板書をしていった。
……一発目でいきなり授業に入る先生っている?
「化学の基本と言っても良いでしょう、元素記号です。これらを表にしたものが周期表です。縦列を族と言い、横列を周期と言います。この周期表を作った人はメンデレーエフと言って、ロシアの……___」
あー…授業なんて頭に入ってこない。
思い当たる節は二つ。
一つ目は、つまらないから。
つまらないのは、知ってるから。
これも、樹のおかげ。
本人はそんなつもり無いだろうけど、あの子相当な化学オタクで、俺にいつも無駄知識植え付けてたの。
酔っ払いってなんであんな酒臭いんだろうね、今飲んでるわけでもないのにって文句垂れたら、樹なんて言ったと思う?
あれは酒の臭いじゃねェ、アルコールが酸化されて出来たアルデヒド臭だ。って言ったの。
これが中学生だよ?
…相当だと思わない?俺未だにアルデヒドとか聞いたことないよ。
そんで二つ目。
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