いち

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「……ごちそうさまでした」  大して美味くもない手作りの朝食を食べ終え、皿を洗い終え、今度はとても小さいお弁当箱を鞄に詰めます。 「うーん、何がええね……いや、これは違う……」 「……いってきます」 「昨日はあれが勝ったんや……なら今日はこいつがいいんやなかろうか……」  朝っぱらから酒を飲みながら新聞を見て赤鉛筆をくるくると回しているようなおばを持つリースですが、これはもう日常の一ページとなっています。  返事がないので彼女はさっさと出かける準備をします。 「こらァ!! 出かける前は挨拶せぇと言ったやろが!!!」  背後からの怒鳴り声にリースは思わず身をすくめました。 「ご、ごめんなさい……いってきます」  おばは酔っ払い特有のテンションで愚痴り始めます。 「あの人は今朝から打ちに行くわ、あんたからの声掛けがなきゃ淋しいのなんの……うっ、うっ」  前述の通り、彼女は博打好きの夫妻のもとに預けられています。  つまりおじは朝早くからどこかで打ちに行っているということです。 「あの……おばさま」 「あんたがいると辛気臭くなるわ!! はよ出てけ!!!」  酒瓶が顔をかすめました。  リースはとっとと家を後にしました。  理不尽なやり取りも、日常茶飯事なのです。  ☆
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