第1章

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【あるばいと】を紹介した社長を急に恨みだした僕は、全ての【?】は青か黒に入れることが増えた。 食堂に行く時間になっても、足を運ばなくなっていた。『いっくん』と呼ばれたくないからだ。呼ばれると暖かくなることを感じるからだ。 その暖かさから逃げたくて、逃げたくて、しかたなかったんだ。 リリリッ、ジャジャジャーん! 騒音の音楽が昼食だと知らせる音が響く。毎回変わるのは工場長のインスピレーションを音に毎回変わるようだ。めんどくさい、本当にめんどくさいと思うばかりだ。 だが、僕は工場に一人残った。お腹は空いていない、一人になりたかった、青空ではない天井をひたすらに見てるだけでいいと思ったからだ。 パイプ椅子を四つ並べて、その上に横になる。ゴツゴツして痛い、布団やソファーが気持ちいいとはわかっていても工場にはないからしかたない。 土管からシュポシュポと寂しそうに音がなる。その間も球体は空気に身を任せるように、自ら入るように吸い込まれていく。 「へぇ、勝手に入るなら人っているの?理解できないよ工場長…」か細く呟くと居心地の悪いパイプ椅子で眠りについた。 忍び足で工場長が近づく、眉間にシワを寄せた顔みて静かに「いっくん」抱き上げた。 【……風邪は引くな、いっくん皆が心配してること知ってほしいよ?今日はゆっくり休んでよい】 工場の明かりは消え、静かに歩きだした工場長は闇に消えた。
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