第1章

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そろそろ午後の仕事の時間だ。だか、気分がよい。 たまには仕事のない日も良いだろう、さぁ、この仮面をつけて「工場長」としての挨拶をしようか。 「いっくん」今日はここでお休み。朝目覚めるように魔法をかけておくよ。けして目覚めない魔法、朝には自分の部屋にいるはずだ。 お腹すかせておけば食堂にも足を運ぶはずだからね。策略ではないがわざとではないよ?魔法だからね。 工場長がオレンジのランプに触れると、七色の光が舞い始めた。部屋全体に虹を生み出すと、工場長は静かに消えた。 工場から放送が流す準備をする、そして、いつもの工場長のように語ろう。 ジャンジャン!ジャンジャン! 【工場長だよ☆みんな今日はこれでおしまいさ☆工場終いだよっっ☆「空」を楽しんでおいでぇよ☆今でも「艶やかな夕日」を見て涙しといでっ☆知らないものを知るのは清々しくいいものだよっ☆さぁ、出発しておいでよ諸君☆】 食堂から工場へ戻る通路では歓声が沸き上がっていた。まじでか!、よっ!工場長様々!うっそっ…本当にいいんだっ!、ロマンチックなことしてくれるんだ!、工場長やるじゃん!と口々に叫んでいた。 きっと「いっくん」がいたら騒音にしか聞こ えないぐらいの音量だな、とスピーカー越しに困った顔して工場長は思った。
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