第1章

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さぁ、頑張ろうか僕。何も考えてない頭でそう励ました。鉛を引きずるように足は重たい。「原点の意味が未だにわからないよ、工場長。」か細く消えた声を広いあげるように突然鳴り響く案内放送。 【一番くん昇進おめでとう☆愛が悲しいぐらいに胸を指したよ☆その証拠に『青』が悲しく泣いたんだよ☆その調子で頑張ってくれよん☆】 その瞬間拍手が生まれた。よかったね!、おめでとう!、よくやった!の口々に広がりうるさい。 僕は耳をふさいだ。意味がわからない。青ってことは『哀』が? 急に臆病風に吹かれたような気がした。工場長の声は一種の雑音に似た風、僕の価値を試すように、試されてるような気もしてたまらない。最近そう感じるんだ。窮屈、監視、ストーカー、孤独感、存在価値を確かめるように…そんな気がしてたまらない。 時に『あきらめと言う悲しさが増てしたまらない』と思うときもあった。自滅していけないと理解はしていると、だけど、そうすることが楽だと思うときもある。 いつしか雑音に似た言葉は飛び交うのは止んでいた。 悲しいぐらいに胸を撫で下ろした。なぜ悲しいのかわからない。だけど今はそんな感情が蝕んでいた。
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