白波の魔女の章

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1942年5月4日、 世界情勢は混迷を極めていた。 人類は、怪異(ネウロイ)から大規模な攻勢を受け、欧州各国がその凶暴で圧倒的な力の前に蹂躙を許し、並居る列強が国土を失う憂き目に遭っていた。 第二次ネウロイ大戦の勃発である。 前年に実施されたバルバロッサ作戦、タイフーン作戦では一定の成果を得て、現在は反撃の中核となるべき虎の子の戦闘部隊、 統合戦闘航空団の組織化が進められている。 正に一進一退の攻防が続いていたのだ。 しかし、そんな不安定な世界情勢など嘘のようだった。 極東の海洋国家、扶桑皇国はまだネウロイ脅威に晒されていない。 扶桑海は透き通るような蒼空の色を反映した紺碧色で、 今日も平和な春の海であった。
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