白波の魔女の章

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「夕月」 「ふにっ」 夕月の両頬を手のひらで包み、 コチンと額を合わせる美幸。 「アンタはこの距離を保ちながらアイツの観察を続けて、でもこれ以上近づいちゃダメだからね」 「美幸ちゃんは?」 「沖島へ戻って準備してくる。私が戻ったらアンタはそのまま帰投」 「何の準備?」 「交戦して戦力を確かめなきゃ。100メートルなんてデカブツ、今持ってる7.7ミリ機銃だけじゃ心許ないからね」 心配させまいと健気に笑顔を作って言ってみたが、夕月の赤い瞳にみるみる涙が溜まっていき、 「ダメッ、ダメェーッ!」 しがみつくように抱きつく。 「危ないことしないでよぉ、美幸ちゃん!」 少し困った顔になりながら、優しく夕月の頭を撫でて、 『大丈夫、お姉ちゃんに任せて』
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