白波の魔女の章

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敷設艦沖島が海上に円形の航跡を描く。 円の中は波が静まり、水偵はそこに着水する。 つまり、 急遽戻ってくる美幸の受け入れ準備だった。 艦内では水兵たちが慌ただしく動きまわり、時折怒号と威勢のよい返事まで聞こえてくる。 「燃料補給の用意を急げ、嬢ちゃんが帰ってくるぞ!」 「どっちの?」 「カワウソだ!」 フソウカワウソはウィッチである美幸の使い魔。 ウィッチは魔法力を行使する時、契約を交わした使い魔(精霊)と精神を同調する。 その時、使い魔の身体の一部がウィッチ身体にも現れるのだ。 魔法力を行使中の美幸の頭部にはカワウソの小さな耳、尾骨部からは太いカワウソの尻尾が現れる。 だから水兵たちからはカワウソちゃんの愛称で呼ばれていた。
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