白波の魔女の章

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ピシャッと自分の両頬を叩いて気合いを入れ、九九式の安全装置を外した。 「ちょっと、行ってくるね」 軽く手を振り、別れる二人。 夕月は戦いに赴く姉の後ろ姿を暫くその場で見送る。 美幸は本当に軽くお出かけでもするような明るい笑顔。 けど、悪い予感を感じる… 「美幸ちゃん、今日もいつもみたいに帰ってくるよね? いつも通り一緒にご飯食べて、一緒に身体洗って、二段ベッドでオヤスミして…。たまに夕月に小言をいうお母さんよりうるさい美幸ちゃんだけど… …夕月の大事なお姉ちゃんだから。」 気持ちを戦闘態勢にもっていく美幸。 「私の任務はほどほど戦闘して、敵の戦力を確認して報告すること…」 もう一度、胸に刻むように自分に言い聞かせた。 それらしい黒いものが見え、近づくにつれ露わになっていく怪異の全容。 「大きさは軽巡洋艦以下、駆逐艦以上ね」 正面に回り込み確認する。 人間の髑髏にも似た顔付き。 正に怪物、 不気味で寒気がする様な姿形。 口顎が開いたと思ったら、 凄まじい咆哮を上げた。 ビリビリと身体の芯に響く、 巨大な雄叫びだった。
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