オフィスを離れて、少しだけ

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前日の怒濤の業務を終えた木曜日。 川南第二支部の職員たちは、無事に全員そろって慰安旅行に参加した。 目的地は国内有数の温泉街にある、老舗の温泉旅館。 旅館に行く前に、有名な神社を参拝する事になっている。 貸し切りバスの一番前の席で、愛美は峰岸主管と並んで座っていた。 「いろいろあったけど、なんとかまるく収まったのね。」 「えーと…なんの事でしょう?」 なんの事だろうと愛美は首をかしげた。 「とりあえず、菅谷さんも支部長も、噂はただの噂だったみたいだし。」 「それですか…。」 「次はガセじゃない結婚とかオメデタの話が聞きたいわね。今日行く神社、縁結びで有名なんですって。本宮じゃなくて、敷地内の小さいお社が、良縁で結ばれるパワースポットで話題なんだって。二人で行ってみたら?」 「はぁ。…え?…二人で、って…。」 「もちろん、一番大事な人と一緒に、よ。」 含みを持たせた峰岸主管の言葉で、愛美は急にドキドキし始めた。 (あれ…?峰岸主管、まさか知ってる…?)
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