いち。

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「…………」 眠い……。 春の朝。ポカポカと気持ちのいい朝日が部屋に広がって、リビングのソファーの上で何度か堕ちそうになる。 ふかふかのベッドからソファーまでなんとか起き上がって、座ったままかれこれ30分くらい。 どんだけ自分低血圧なの……。 「ほら雪、朝ご飯出来たよー。こっちおいで」 「……ん。」 今日何度目かの睡魔との格闘に負けそうになった時、カチャカチャと騒がしかったキッチンの方から声が掛かった。 のそのそとテーブルに着けば、どこかのレストランですか?並の朝食に本能的にお腹が鳴る。 「はい、雪のブラックコーヒーね」 「……ありがと」 雪。これが俺の名前。女の人みたいだけど、立派な男子です、はい。 本名は、香坂 雪。 高校3年で、学校の副会長してます。 「どう?美味しい?」 「ん、……最高」 んで、さっきから、向かいの椅子に座って食べてる俺をずっと見つめてくるのは、この豪華な朝食を作った張本人、 長谷川 宏太。 25歳。俗に言うイケメンで、笑顔は爽やか王子様。 仕事は、老若男女から人気のある、今をときめく演技派アイドル。 そんな彼と俺は、まぁまぁ色々ありまして、同棲生活をしてます……。 知っているのは俺と宏太と宏太のマネージャーの3人だけ。 ……経緯、気になる? とりあえず簡単に説明すると、 1年くらい前、ファンの人に追いかけられてる宏太に出会って、なんかわーってなってバタバタしてー、今。 ……みたいな。 朝は頭働かないから、また今度ちゃんと説明するね。(笑)
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