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20XX年、1月 囚人番号1444 刑執行
俺は、ほんの僅かな食料と水、そして備品だけを積んだ宇宙カプセルに乗せられ、宇宙空間に放り出された。
このカプセルにはジェットエンジンなるものは一切塔載されていない。
そう、片道切符しか貰えない、死へと続く人生最後の旅行なのだ。
そして死刑執行として最も重たい処遇というわけだ。
簡単に死ぬことも許さず、ただ一人きりで飢えと孤独に苛まれながら死んでゆく。
この方法の利点は【死体を処分することなく確実に刑を執行出来る】事。
カプセル自体にトイレなどはあるものの、食料が尽きて餓死することを想定しているためとても狭い。
まぁ、今迄みたいに死体を処理する手間を省けるなら、刑務官だってこっちの方がよっぽど楽なのだろう。
【死んでいく姿を見なくて済む】のだから。
基本、放り出されたこのカプセルの行き着く場所は、宇宙ステーションに造られたスペースデブリ(宇宙ゴミ)処理場。
回収され、そのカプセルごとペチャンコに潰され、あらゆるゴミと一緒にまた、地球へと戻される。
もちろん、死体の回収などしない。というか、死んでいるのすら確認されぬまま、ただのゴミ屑となるのだ。
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