閑古鳥が鳴いてる的屋さん

またね

「ちょいちょいちょい。ちょっと待った。おにいさん。おじさんか」

「おじさん後ろに信楽焼のタヌキがついてるよ。キツネに取りつかれた奴は見たことあるが……。信楽焼のタヌキは初めて見たぜ」

「おお。俺は福の神えべっさん。露店商をやってる時は柿野木守を名のっているんだ」

「おじさんの名前は何て言うんだい？タヌキに名前はあるのかい」

「へえ。舞子さんですか。タヌキはメガネをはずすとカワイイ人になるんだ。おじさんの名は九兵衛。江戸時代か」

「今日は残り福。しょうばいはんじょうで～ささもってこい」

「今日は当たりくじだけ。すべて当選券。信じるか信じないかは、あなたしだいです」

「九兵衛さんは、またねと言って帰ってしまう。はずれがないのに……」