【40】どうか

15/15
147人が本棚に入れています
本棚に追加
/726ページ
「えっと、どうしたの?」 声をかけるとスマホから私に移った視線。 同時に真顔から笑顔にもなっていた。 「いや、俺に聞きたいことあるのかなと思いまして。だから呼び止めたんすよね?」 バレてる。 顔に出やすいの本当にどうにかしたい。 1つ聞いたら他にも色々と聞きたくなるだろうし、それで安心できるとは限らないのに。 「ううん。別にないけど?勘違いさせちゃってごめん」 「隼人、マジで後悔してますよ。しつこいぐらいに惚気話を聞かされてきてるんで、彼女さん一筋だってこと俺が保証します」 何て答えるべきか分からなくて、苦笑いを浮かべることしか出来なかった。 「少しでも気になることがあれば直接聞いてやって下さい。焦ってテンパるかもしれないすけど、彼女さんの質問には正直に答えるでしょうし。それか、俺のバイト先にこっそり来てくれても大丈夫なんで。以上、アイツの親友からの余計なお世話でした!今度こそ本当に帰りまーす。それじゃ、また」 私が行きたい方とは逆に歩いて行ったイケメン君。明るく接してくれていたけど、隼人君の友達にまで迷惑かけてる。 歩きたい気分だったから、車じゃなくて徒歩でスーパーに向かった。クリスマスが終わったこともあって、街の雰囲気がガラッと変わっている。 もうすぐお正月。 成人式だって、あっという間にやってくる。 参加してもらうために私が出来ることって何だろう。 *** 買い物を終えて部屋に戻ると、隼人君がベットから勢いよく起き上がった。枕元にスマホがあったし、さっきまでいじっていたのかも。 「体調どう?何か食べる?カットフルーツの盛り合わせや、リンゴとミカンとバナナ買ってきたよ」 「ありがとうございます。あの、(かける)からメッセージ届いたんですけど」 「翔?」 買ってきた物をテーブルに広げている時に、初めて耳した名前。考えてみれば隼人君の男友達の名前は、バイト先の山岸君しか知らなかった。 「さっき来てくれた奴です」 「へー、翔君っていうんだ」 「由夏さんの気になってること全部教えて下さい」 真っ直ぐな視線に逸らしたくなる。 でも。
/726ページ

最初のコメントを投稿しよう!