【42】距離を縮めるには

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初詣から戻ってきてお昼を食べ終えたあと、買ってきたばかりのマグカップとレモンを隼人君が用意してくれていた。 その間に、私はりんご飴を包丁でカット中。 おやつタイムじゃなくて、食後のデザートとして食べることにしたのだった。 「じゃあ、入れるね?」 「いつでもどうぞ」 隼人君にスマホで動画を撮ってもらって、1つのマグカップにレモン汁をゆっくりと入れていく。青から紫、そしてピンクへと変わる色。 「わー、綺麗だね。こういうの考える人って凄いと思わない?」 視線を移すと、隼人君が笑っていた。 紅茶のみ撮っているのかと思っていたら、私まで入ってるような角度だったから咄嗟にレンズを手で塞いだ。 「思います……って、え?急にどうしたんですか?」 「もう撮らなくて大丈夫だから」 動画を確認させてもらうと、やっぱり私も映っていた。大人になりたいと思い続けてるのに、またはしゃいでいる。 でも普通に笑えているわけで。 気を付けようと意識すると、不自然な笑い方になっちゃってるだろうし。 もう1つは隼人君にレモンを入れてもらって、今度は私がマグカップのアップを撮影した。さっきとは違い、一緒に動画を確認する。 皆に見せたいなと思っていた時。 小ぶりのフォークに刺さっているりんご飴を、口の近くまで持ってきてくれたからパクッと食べた。 チョコレートとは違った甘さ。 お祭りやイベントの時にしか食べない、特別な甘さでもある。 隣には彼氏の隼人君。私の好きな人。 普通に考えたら幸せな時間。 「隼人君も食べる?あ、でも無理に食べなくても」 「好きです。大好きです」 手に持ったのはいいものの、本当は苦手なのかもと考えていたら、私の手首を掴んで隼人君の口へと近付けていた。 「そ、そんなに好きだなんて知らなかったな。隼人君ならりんご飴も作れるんじゃない?」 「じゃあ食べたくなった時に教えて下さい。今度作ってみますね」 「……ねぇ、これSNSに投稿してもいい?」 そう聞くと、隼人君が更に優しく微笑んだ。
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