死体の消失と、事件現場への再訪

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 トミーは死体置き場の前で警部達と別れると、辻馬車を拾って先程の子宮を抜き取られたいう被害者の遺体が発見された路地を目指しました。  ハーバー警部達は棺の中から死体が消えた事を各所に知らせねばならなかった為、庁舎に戻った後でトミーの事務所に合流する事になりました。  そして、辺りが宵闇に包まれ始める頃、トミーは昼間と同じ例の路地の少し手前で馬車を下りました。  そこは警察もすでに引き上げた後だからか、白昼の喧騒がまるで嘘の様にひっそりとしていて、普段のこの場所がただの人通りの少ない薄暗い路地である事を示していました。  トミーはその人っ子一人いない路地を奥へ進むと、死体が転がっていたと思われる微かな血だまりの跡に屈み込みました。 「やはり、もう無いのか」  辺りは随分と暗くなってきましたが、トミーは何かを探す様に夢中で地面に這いつくばっています。  しかし、その下を向いた彼の背後からは彼を狙う見知らぬ影が迫っていたのです。
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