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「ん・・・、これは」
地面を這いつくばっていたトミーの手は石畳の隙間に何かの感触を感じました。そして、それを掘り出そうと懐の小刀に手を伸ばしたその瞬間・・・、
『ドゴッ』
トミーは物凄い衝撃を感じて背後を振り向こうとしました。しかし、体は思うように動かず、頭部を温かい何かが伝っていくのが分かりました。
視界が傾いでいき、そのまま地面に倒れ込みます。
彼は何が起こったのか解らないまま異様に温かい自分の頭部に触れるとその手の平は血で真っ赤でした。そして、地面に突っ伏したままの彼の視界の端には黒い影が近づいていました。
何が何だか解らないが、とにかく逃げなければ。
そう考えたトミーは起き上がろうとするのですが、体はまるで這う様にしか動かず、影ばかりが近くに迫って来ます。
そして、覚悟した彼は最後の手段として懐の小刀を握ると、それを自分の横顔にあてがい思い切り引き抜いたたのです。
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