大事な暗号は、いつも同じ。大事なものを納めるところも。

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俺は心の底から、俺の挑発に乗ってくれと願った。それはもう神や仏に懇願するように。 「うーん、仕方ないな、始末しちゃうか!」 仕方ない、という割にはこの少年、始末しか方法がないと分かったとたんに、満面の笑顔を見せた。ところが少女は違った。 「待ってください。おかしいとは思わない?この人、さっきから死にたがっている」 「そりゃ、死んだらデータが向こうに転送されるからじゃない?」 「どうやって?」 少女の問いに少年は頭を抱える。 「一度、この人の身ぐるみを剥がしてみましょ」 俺は身ぐるみを剥がされた。全裸だ。二人は衣類を隈無く調べあげた。そんなことをしても、データの入ったUSBメモリは見つかりはしないのに。 「おじさんにひとつ問題です。私達ヤクザは敵のスパイを見つけたら、身ぐるみを剥がして情報を聞き出し、その後、殺して敵組織に送りつけて、見せしめにします。常識です。しかしおじさんは、自身が死んだらデータが向こうに転送されるようなことをおっしゃいました。 では、おじさんが死んだことをデータ転送機はどのように認識するのでしょうか?」 まずい。非常にまずい。俺は咄嗟に心拍数を感知する機械が俺の心拍停止を確認すると送信機がデータを転送し始めると誤魔化した。 「それはないわ。衣類を隈無く調べたけれども見つからないんだもの」 この少女、そのために衣類を。 「ねえねえ、体の中に心拍数がなんちゃらっていうのが入っているんじゃないの?」 よし、よく言った少年。 「それはないわ。実は私、衣類を調べながらおじさんの体に手術痕が無いか見ていたの。でも見付からなかった」 「・・・・じゃあ、このおじさん、嘘をついていたってこと?」 少年に殺気が戻った。いいぞ。俺の息の根を止めろ。
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