はじまり

5/7
前へ
/20ページ
次へ
僕は黙って彼女の隣まで行き、 男に睨みを利かせる。 そして何も言わずに彼女の手を握り、 ……走り出した。 出入り口の方向は確認済みで 僕の使命は振り返らずに走るだけ。 一人の男として 少し恰好がつかないかもしれないけれど、 男としても人間としても 臨機応変に片付ける事が望ましいと僕は思う。 男を振り切り店の外に出ると、 目の前に広がるのは 店の駐車場や道路・・・ではなく、 真っ白な異空間。 いつの間にか同級生達もいない。 自分がどこに立っているのかも、 ここがどこなのかも、 一瞬でわからなくなってしまうほどの、白。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加