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涼風は僕の担当チームの得点を加算しながら呆れてる。
「向遥、俺はあの場面で真剣に心配されたらもっと恥ずかしいと思うけどな。笑ってくれて良かったと思えよ。
身長も低くないし手足も長くて無駄な肉もない。見た目が運動神経良さそうだから意外で面白かったんじゃないの?」
僕はどこか納得できずため息を溢した。決して運動ができないわけじゃない。ただ少し球技は分からないだけ・・・
「この後、僕の番だ……」
終了の合図で僕達のチームがコートに入る。僕もゆっくりとセンターへ向かう。
「今日はちゃんと手で受けとれよ」
振り返るとニコって爽やかな笑顔をよこす。
「アキ君こそ考えて投げてくれると助かるよ」
敵意剥き出しの僕に意外そうな顔をしてから面白そうにまた笑う。
「もしかして怒ってる? 悪かったよ」
肩を叩き先に歩くアキ君に僕は答えられなかった。僕は彼を睨み付け敵意しか向けていないから怒ると思っていた。
あのグループの人が生意気な人に謝るなんてちょっと意外だ……。
ボールが高く上がりゲームが始まる。
運悪く僕の手に納まる大きなボールに混乱してしまいキョロキョロと首を振る。
「向遥!!」
声の方へ目を向けるとアキ君がこっちに向かってきている。僕がパスをする前にボールを奪いドリブルで相手チームの一人をかわしゴールまで決めてしまった。
ただ驚いている僕のもとにアキ君は走ってきた。
「ナイスパス!」
パス?
「僕はパスなんてしていないよ。ただ立っていただけだから」
またムッとする僕を見て面白そうに笑う。
「確かに。じゃあ立ってた場所がナイス!」
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