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「なんだよそれ?」
吹き出したらアキ君の顔が赤くなった。指摘したら、"夕日のせいだ" ってムキになる。
もう陽なんて落ちて空は橙色と青のグラデーションを描き僕達を照らすものは気の早い一番星だけなのに、やっぱりアキ君は変わってる。それがとても面白い。
「アキ君、バスケって楽しいね。ありがとう。もう帰らなきゃ」
楽しいのはバスケなのか、アキ君との特訓なのか、とりあえずこんな気持ちで球技ができることが嬉しかった。
「あ、あぁ。そうだな・・・ってか、お前がやってたのはバスケっていうより毬つきだ。だいたい革靴でやるなんて馬鹿だろ。下手くそ。次の体育の時、少しはまともにやれよ」
はぁああああああ?
なんでコイツは一々僕の気分悪くさせるんだ? ただ素直にお礼を言いたかっただけなんだけど!! あえて言わなくても分かってることを今言う必要あるか?
「わ、悪かったな!!!」
「お前はその変な顔の方が似合うよ。あーニコチン切れだ。じゃあな」
ヒヤリとニヒルな笑みを浮かべ自転車で帰ってしまうからとてもイライラしながらボールを片付けた。喧嘩をしたいなんて思っていないのに……。
少しでも優しいと思った僕は馬鹿だ!
もう絶対にアキ君を良い人かもなんて思わない!
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