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 ここで席を変えるのも感じが悪くなるかな、とそのまま二人並んで食べることになった。  今日のオススメ焼き魚定食は今日も魚が固い。アキ君が注文した、おばちゃんオススメ揚げ物定食を見つめ失敗したかな、なんて考えながら箸をすすめる。 「向遥、その定食不味いだろ」  アジフライを食べながら僕に話しかける。 「アキ君! 人から不味いだろ? なんて言われたら例え不味くなくてもそう感じるだろ!」  またムッとして言い返す僕を笑いながらアキ君が答える。 「いや、不味くないならいいだろ。自分の味覚に自信もてよ」  なんで僕は失敗したなって笑って言えないのかな……。これが涼風や悠紀人だったら普通に言えるのに。フライならソースで味なんて誤魔化せるから浅はかだったのは明白だ。 「……いや、美味しくは、ないよ……」  暗い声で言うとフライを切り始めた。 「ほれっ」  僕の口の前にフライがあるのは食べさせてくれるということなのか? あーんってやつかな? 「・・・恥ずかしくない?」  目の前のアジフライは一瞬でアキ君の口の中に消えてしまい美味しい昼食を取り逃がした。アキ君は此方を見ないしムッとしているようだった。  無言で食べ進めるアキ君の横は居心地が悪い。少し天然なのか、優しさならきっと僕が悪い……。  せっかくの休み時間にこんな空気のままではいたくないから……。だから仕方なく言うんだ。 「ごめん、美味しくないから少しだけ欲しい」  僕のお皿を見てから手元にある残りのおかずを全て半分にした。そのまま魚も半分にして僕の魚に手をつける。
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