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「おい、アキ!俺達が飯食ってたの気がつかなかったのか? 席空けるか?」  よく一緒にいる少し威圧的な人達が前に立ちアキ君を誘う。もともと一人で食べるつもりだったんだから気にしないと、無言で食べ進める。 「あぁ、いいよ」 「あれ? 顔面キャッチと仲良いんだな」 「べつに」  後で、と言って去っていく人を見る。仲良くはないなら席を移動すればいいのに。変なやつ。 「顔面キャッチ?」 「お前のこと」 「ひどいだろ!」  ははってやっとアキ君が笑うから無言の居たたまれない雰囲気が変わって嬉しかった。だからニコって笑って少し大きいエビフライを横から奪い口に入れる。 「お友達に訂正しろよ! 花崎向遥だから」 「知ってるよ」  なんとか固い魚も衣の多いフライも味の濃い味噌汁も完食できた。  一人でどこか居心地の悪い場所も言い合いのできるアキ君がいたから平気だった。 「アキ君、・・・ありがと」  席を立ちトレーを返しながら一応伝えるべきだと思った。 「あっ? べつに、近かったからだけだし」  友達たちが座っていた場所は窓際の食券機近く。やっぱりアキ君は変わってる。スタスタと先を歩く後に続いて教室を目指す。 「なぁ、現社の教科書って持ってきてる?」  思い出したように言われ、あるよと答える。 「教科書貸して」
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