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 教室では涼風と悠紀人が楽しそうに会話していて戻った僕に意外そうな顔をした。 「落書きとかするなよ!」 「フリ?」 「違う!」  サンキュって出ていくから涼風達の席に座り会話に参加する。 「昨日の今日で凄く仲良くなったんだな」  仲良く? 涼風の言葉に違和感を感じはするけど多分友達になったんだと思う。 「口が悪いけど悪い人ではないみたいだから」  午後の授業は眠たい……。  教室を見渡せば何人かの頭がこくりこくりと動いていてそれを見ていると逆に眠気が飛ぶことを不思議に思いながら黒板の文字を写してみた。  アキ君は貸した教科書真面目に使っているのかな……勉強しないタイプに見えるけど。寝ているアキ君を思い浮かべたら笑ってしまった。 「向遥、思い出し笑いキモい」  隣の悠紀人が机に突っ伏したまま顔だけを此方に向けている。 「うるさい、起きろ。先生見てるよ」  数学の先生はひたすら黒板に問題を書き説明しながら解いていくスタイルで生徒が授業に参加することはほぼない。ひたすら聞いてノートを写す、午後一にはとてもキツイ授業だと思う。  だからか先生は寝ている人を注意もしない。変わった先生だ。  今日も1日が楽しく終わる。
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