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「よう!」  駐輪場で朝から珍しくアキ君と会った。眠たそうな顔は早起きが苦手だって書いてあるようだったからタブレットを食べさせてみた。 「うわっ、不味い」  一口で表情が変わったから面白くて僕の目が覚めた。 「眠気飛んだ?」 「・・・飛んだ。いい性格してんな」  ケラケラ笑う僕の頭を叩き一緒に教室へ向かう。昨日貸していた教科書は机の中に置きっぱなしみたいだ。アキ君の鞄の中は常に空で薄い。  7組の前で待っていると威圧的な人がまた声を掛けてきた。 「アキ? 呼ぶか?」 「大丈夫、待ってるの知ってるから」  そっか、と中に入ってしまう。意外と親切な人かな、なんて考えているとアキ君が廊下へ出てきた。 「あの人、顔怖いけど親切だね」 「あー、よく言われてるな。俺の方が親切だけど」 「へぇー、じゃあね」  教室へ戻り貸していた教科書をペラペラ捲る。 『新記録、68回』  社会の先生は言葉の中に"えーっ"を必ず入れる。これを数えて暇潰しをする生徒が多いけど、よく一時間数え続けたな、と感心する。次のページを捲る。 『土曜日、午前9時公園でバスケ、来いよ』  その下に携帯番号が書いてあった。ポケットから携帯を取り出し送信を押す。 『了解、落書きするな』  返事はすぐきた。 『フリ?』
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