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 放課後になり部活に励む人が教室から出ていき少しだけ静かになる。まだ明るい空にこのまま帰るかどこかに寄るか悩み涼風を探す。 「あ、あの、少しだけいい?」  小さな女の子から声が掛かった。この表情をされるといつもとても困る。小さく震える声にこの子の緊張が見えるのに僕は申し訳ないとしか思えないから。 「なに?」 「あとから来て欲しいの……、あっちで待ってるから……」  指さす特別教室のある棟へ目を向ける。あの4階はあまり部活にも使われていない。視線を戻したとき俯く女の子はダッシュで逃げてしまい断ることもできなかった。  あとからって何分後なんだろう……。 「向遥はモテるな。まだ入学して3ヶ月なのに二人目?」 「三人目・・・」  僕より少しだけ高い位置にある瞳は頑張れと言っている。 「断るつもりだよ?」 「贅沢だな。何が不満?」 「知らない子だし、好きになれるか分からないから」  涼風は付き合っていくうちに好きになれるかも知れないし経験にもなると言った。悩みながら女の子の事を考える。そもそもあの子は誰だ? 「僕の何が良いのかな・・・」  小さな呟きに頭を叩かれた。 「お前ねぇ、鏡見たことあるか? 綺麗な整った顔立ち、頭も良い、運動もそれなり、品行方正、冷たいと思わせる表情が近付き難いけど球技は最悪ってとこが可愛く見えて親近感がわく、笑うと冷たさが消えて綺麗だけが残る。男でも羨ましく思うよ。自信持って、いってらっしゃい」
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