届かぬ叫び

9/14
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
奈穂子はさっそく低反発ウレタンのマットを端から順に敷き詰めていった。 「…よし、できた!けいちゃん、これでもう大丈夫やで!この上で遊んでいいよ♪」 慶一は不思議な顔をして、しばらくマットを見つめていたが パズルの要領で組み合わせてあるマットの1枚を剥がしはじめ、フローリングを叩いてキャッキャとはしゃいでいる。 「けいちゃん!なんなんその遊び!あか~ん!」 「あ~あ~」 慶一はフローリングを指さし、奈穂子に何か言いたげだ。 「そうそう、直接トントンしたらまた下からコンコンされるからな?これは剥がしたら、駄目よ?」 声を潜めて慶一に言い聞かせていたその時 コンッ 昨日よりは弱い音が、一度だけ聞こえた。 あのババァ…!最後の忠告のつもりなんかい! 慶一はなぜか同じ場所でトントンするのが好きなようで その周辺のマットだけ、剥がせないよう2~3枚を接着剤でくっつけてしまおうかとも思ったが 万が一また引っ越すことになった時に大変なのでやめておいた。 まぁ、これでしばらくは大丈夫だろう。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!