第1章

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前世で呆気なく死んだ僕は幸いというかなんというか、ククル家という商家の三男坊として転生した。 物心つくまでは普通のクソガキとしてあちらこちら迷惑を駆け回っていたので、あまり転生という実感はない。 こういう転生ものにありがちな神様との対話もなにもなく生まれたので、通り魔的に記憶を植え付けられたといったほうがまだしっくり来る。 当然のことだが、ために貯めたアイテムはがま口ごと行方不明。 剣は…呼んだら来た。ファル曰く「そういうもの」らしい。 僕が死んだときは溶けて鉄屑みたいになってたはずなのに、キズひとつなくなってるのも、僕の体格に合わせた短刀に変化してるのも、「そういうもの」で片付けられるのはなんか納得いかないけど。 で、なんやかんやあって、僕はファルと旅をしている。 もともとこいつが行きたいと言いはじめたことなのに、なんでここまで体力がないんだ。 「あんま歩いたら足太くなってプロポーション崩れるしさー、おぶってよにいさまー。」 「細胞ごと崩れて死ね!」 こいつに兄と呼ばれるのは屈辱だ。 ほんとどんな些細な理由でもいいからこいつがこの世からいなくなればいいのに。
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