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「ねえ、ほんと足疲れたからさ。次の町までおぶってってよ、兄さま。」
「兄様とか呼ぶな。お前と血が繋がってる事実だけで超弩級に不幸なんだから。」
「えー、こんな可愛らしい弟がいるんだから、幸せだと思うけど?」
そう言うと渚…ファルはくるりと回る。
スカートとシャツの簡素な服装が似合う、華奢な体つき。
長い金髪を頭の左側で結んで垂らしている。
「なあ…お前はなんでいつも女装してるんだ?」
しかし、こいつは前世から男だ。
「可愛いものには、可愛い服!」
たしかに女みたいな顔つきをしているが、女装する理由にはならないと思うぞ。
こいつの兄として恥ずかしい。
「べつにいいじゃん、僕が女の子のかっこしたってさー。あ、それとも兄様、僕の格好みて、ムラっと来ちゃった?いけないなー。」
「来るわけないだろ、糞弟に。もう一回死んで地獄に転生してくれ、頼むから。」
「やだよ。兄様からかうの楽しいんだもん。」
糞が。
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