第1章

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「お、今日はここで野宿なんだ!じゃあお先に失礼しまーす。」 目を覚ますなりまた寝ようとするファルの襟首をひっ掴み、テントから引きずり出す。 「ファル、少しくらい僕の役に立ってもバチはあたらないぞ?」 「もう役に立ってるでしょ?」 「は?」 「こんな可愛い弟に、毎日癒されてるでしょ?」 「…もう一回死ぬか?」 「冗談きついなー。で?今日も魚とってこればいいの?」 「頼んだぞ。」 「はいはい、鬼。」 「しょうもない略しかたすんな。」 「ノリ悪いなー。あ、釣竿釣竿っと。」ファルがリュックを漁る。 「おい、そっちは僕の荷物だ。」 「あ、間違えた。ごめんごめん。えー、と。これだ。じゃあ行ってきまーす。」 折り畳みの釣竿を伸ばして肩に担ぎ鼻唄を歌いながら、川に向かって歩くファルの背中を見て溜め息をつく。 あいつほんとめんどい。
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