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被弾した、だが損傷を確認している場合ではない。
そのまま急降下し、砂丘の溝に入る。
どうやら発動機にもらったようだった。
完全に破損したわけではないが思うように加速しない。
無理に加速しようとすればそれこそ何が起こるかわからないで。
砂丘の溝を縫うように飛行しながら背後を確認する。
恐らく追って来ているのはグランビア系が3機、ベーター機にも同じ数ついたと見るべきだろう。
ベーター機が無傷なら160km/h程しか出ないグランビア3機など敵でもないだろう。
だが手負いとなると話は別だ。
ベーター機が敵を片付けて援護に来るまで凌げるかどうか。
砂丘の溝が直進になった、瞬間、寒気がして、操縦桿を捻ってロールする。
すると前方の砂丘が吹き飛んだ。
後方を振り返るとグランビアが白煙を上げて後ろへ吹っ飛んでいく。
いや、グランビアが反動で減速したのと、リドがマーレを300km/hまで加速させたためそう見えただけだろう。
だが直ぐに160km/hまで減速する。
グランビアと入れ代わるようにしてグランミトラが前に出て来た。
「まずい!」
思わず声が出てしまった、などと考えている場合ではない。
すぐさま機首を上げて上昇、そして左に若干緩くロールする。
軽砲を20丁程同時に撃った様な、いや正しくその通りなのだが。
機体は散乱した弾丸をギリギリ(数発かすめながらも)回避し、少し崩れた様なバレルロールで、弧を描いて砂丘を超え、すぐ隣の溝に移った。
敵機も後を追ってきた。
すると二機目のグランビアが前に出て発砲する、が再び同じ機動で回避する。
だがいよいよこの手は通用しないだろう。
リドは時計を見て、それから辺りを見回す。
「賭けるしかないか。」
もうすぐ砂丘の出口だった。
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