第1羽 琴の音

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砂丘を抜けた瞬間、リドは思いきりスロットルを押し込みながら、操縦桿を名一杯引いた。 ある程度垂直に上昇すると、今度はスロットルを戻し、フラップを出してからもう一度操縦桿を名一杯引き、縦長の楕円のループを描くような軌道をとった。 ループの最中、顔を上げ、地面の方を見下ろすと、まさにグランビアが「標的用の凧」の群れに突っ込んだところだった。 それは射撃試験に使うはずだった標的で、ダッカーで引いて浮かせる凧だった。 リドは試験開始時刻と場所を照らし合わせ、標的運用のダッカーが通るルートと時間を予想したのだ。 もちろんそれは予想に過ぎず、確証など無かった。 しかし、リドはそれに賭け、そしてその賭けに勝ったのだ。 そして機体はそのままのループし、敵機の真後ろについた。 あとは簡単だ、引鉄を引けば、6門の連発砲で目の前のグランビア、更にその前を行くグランビアも蜂の巣だ、生体機関の血潮を撒き散らしながら落ちていく。 いや、グランミトラがいない。 ゾッとした。 後ろを振り返ると、グランミトラの銃口が睨みつけていた。 一瞬覚悟した。 が、敵機は右翼からもげ、きりもみながらザイルの砂に突っ込んだ。 その後ろからベーター機が出てきて横につけた。 ハンドサインで『待たせたな、相棒。』という言葉に「お前よりダッカーの方が頼りになるよ。」と冗談で返してやった。 そしてダッカーの乗員達に翼を振って礼をすると、2機は帰路についた。 ダッカーの乗員達はその2機が砂丘の奥に帰るまで帽を振り続け、この初陣を祝福したのだった。
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