―追慕―

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思ったけれど、手ごたえはなく、気づけばバラバラ…と、力を失った髪の束が、床に落ちてた。 どうやら男が、もう片方の手で抜いた脇差で、伸びた髪の束すべてを、切り散らかしたらしい。 …なんで二刀流?ズルい! なら最初から、そう言ってよ!! 泣き出したい気分にかられながら、なんとかこの場から逃げ出す方法を…だけど窓なんかないし…どうすれば… そればかりに頭を巡らしていると、ふいに男が床を蹴って高く飛びあがり、宙を舞うような格好で ビュンッ! 右腕の刀剣を振り下ろしてきた。 慌てて、爪を伸ばして防いだけど シュッ! 今度は、空気を切る鋭い音とともに、男の左腕が伸びてきて ビィィン…!首の真横の壁に、剣が突き刺さる。
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