アネモネの想い

11/61
前へ
/61ページ
次へ
「あれはどう見ても困ってるよね、智紘」 「・・・・」  ヘラヘラ笑っている吉岡に対し、腕組みをして呆れたように眼の前の男を見ている智紘。  廊下を通る生徒たちが何事かと、好奇の視線を向けているのがわかる。 「なにしてるか訊いてみればいいじゃん!」  そういうが早く、悟は口に手を当てて、大きく手を振った。 「おーい!ともひろーー!」  その声に、智紘と吉岡はほぼ同時に振り向いた。  自分たちの姿を確認すると、智紘は安心したように、それでも少し困ったように肩を竦めてそっと微笑んだ。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加