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「なんでなんでなんでーー!?」
「俺にはそういうの向いてないから・・・・」
だからとりあえず、声のトーンを下げてくれ、と困った表情を浮かべていると、横から伸びてきた手が悟の口を強引に塞いでしまった。
「テメエはいちいち煩ェんだよ」
「モゴッ!」
暴れる悟を易々と片手で押さえ込み、呆れ顔をしている真人の隣で、祐一郎がケラケラと笑った。
「まあ、しゃーないじゃん?たしかに少し勿体ないけどさ、智紘がそーゆーの好んで引き受けるとは思えないし?」
「なんならおまえが立候補してみれば?ま、吉岡にしてもおまえみたいな絵にもならねえような小動物描きたいとは思わないと思うけど?」
「フガフガッ!!」
顔を真っ赤にして手足をバタバタさせている悟の鼻を最後にギュッと摘んで、真人はその身体を解放した。
「痛ッ!なにすんだよ!バカ真人!!」
「おまえにバカっていわれても説得力がねえな」
「煩いやい!バカっていうほうがバカなんだよ!って、どこいくんだよ!?」
「予鈴が鳴ったから教室戻るンだよ。おまえ体力余ってんならどっかのクラスに混ざって校庭でも走ってろよ」
「ムキーーッ!」
地団駄を踏んで悔しがっている悟に苦笑を洩らし、「いいすぎだ」と歩き始めていた真人の脇腹を肘で突いた。
それに気づいた真人は僅かに眼を細めて、無言で紙パックのいちごみるくを差し出した。
「あ・・・・ありがと」
「やらねえの?」
「ん?」
「モデル」
そういわれて、おもわず苦笑を洩らした。
「興味ある?」
「いや、モデルに関しては興味ねえけどな」
その言葉に首を傾げると、真人は苦笑を洩らして小さく肩を竦めて見せた。
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