アネモネの想い

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 最後にアイツの絵を見たのは、いつだったか。  もう、僕は覚えていない。  近代的な美術館の一室を借り切って行われている美術展は、閉館間際ということもあって、人の入りも疎らだった。  それでも、この場所に不似合いであることを自覚している僕は、なんとなく居心地の悪さを味わいながら、 その中へと吸い込まれていった。  目指すのはアイツの絵。  あまり大きいとはいえないホールの中でも、一番の特等席であろう場所に飾られている絵は、 まるで僕を呼んでいるかのように、僕の眼を惹きつけた。  彼の絵の前で、誰もが足を止める。  僕は立ち止まる人を掻き分けて、その絵の前に立った。
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