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虫食いだらけの格子戸の穴から、バナナのお尻みたいな鼻先だけをにゅっと出すと。
そこに、冬が来ていた。
「ねぇ、神様」
後ろ頭のもっと後ろのほうに、言葉を投げかける。
「冬って、どこから来るの?」
吸い込んだ空気はキンと冷えていて、鼻の穴の壁をじんと痛ませる。
逆に、漏れていく息はふわりと白く、温かい。
背後で、髪の毛をわしわしとかきむしる音が耳に入ったかと思うと、ぶっきらぼうな寝ぼけ声が聴こえてきた。
「……あっちだよ、あっち。北のほう」
見なくてもわかる。
きっと、適当な方角を指で指し示しているんだろう。
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