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――――――じゃあ、なんで?
ボクは再び格子戸に向き直った。
小さな影は、扉をゆさゆさと揺らして、今にも開放してしまいそうだ。
崩れ落ちてしまわないのが不思議なくらいのオンボロな社自体も、グラグラと揺れる。
ボクはさらに慌てる。
待って待って、まずいよ。
なんたって、ウチの神様は、まさしくこの世の誰より。
――――――寝起きが悪いんだ。
崩れかけの社の扉は、いともたやすくひらいた。
飛び込んできたのは、子供。
女の子だ。
目をまんまるくして硬直したボクの首もとに、ガシッ、としがみつく。
「ワンワン! おっきいね!」
そりゃまぁ、いざとなったら、神様ひとりを乗せて走れる体格のボクだ。
それなりに大きいし、子供ひとりがぶら下がったところでビクともしない。
でも……
どうしてこの子、ボクが見えるの?
彼女はいたって無邪気。
あまりに突然で、理解不能なことに面食らっているボクの顔に、頬っぺたをすり寄せて、まったく怖がる様子はない。
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