二 混乱は突然やってくる

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 ――――――じゃあ、なんで?  ボクは再び格子戸に向き直った。  小さな影は、扉をゆさゆさと揺らして、今にも開放してしまいそうだ。  崩れ落ちてしまわないのが不思議なくらいのオンボロな社自体も、グラグラと揺れる。  ボクはさらに慌てる。  待って待って、まずいよ。  なんたって、ウチの神様は、まさしくこの世の誰より。  ――――――寝起きが悪いんだ。  崩れかけの社の扉は、いともたやすくひらいた。  飛び込んできたのは、子供。  女の子だ。  目をまんまるくして硬直したボクの首もとに、ガシッ、としがみつく。 「ワンワン! おっきいね!」  そりゃまぁ、いざとなったら、神様ひとりを乗せて走れる体格のボクだ。  それなりに大きいし、子供ひとりがぶら下がったところでビクともしない。  でも……  どうしてこの子、ボクが見えるの?  彼女はいたって無邪気。  あまりに突然で、理解不能なことに面食らっているボクの顔に、頬っぺたをすり寄せて、まったく怖がる様子はない。
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