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運転手の先輩が声をかけてきた。突然のことだったのでどぎまぎとしてしまう。
正直なところあまり仲良くしたくはない。出来ることなら話もしたくない。早く終わらせて帰りたい。
そんな気持ちをどうにか抑える。
何とか乗り切ることだけを考える。
「隼人(はやと)です。」
「隼人か。中学んときは何て呼ばれてた?」
「そのまま隼人ですけど。」
「じゃあハヤトでいいな。俺はマコト。隣のがエミ。後ろがタカシな。」
「あ、ありがとうございます。」
「何か堅いなあ。気楽にいこうぜ。これから一緒に部員を増やしていくんだから。記念すべき新入部員一号くん。」
「すみません。マコト先輩。」
ダメだ。このノリには永遠に馴染めそうにない。頑張って出来る限り合わせることにしよう。とにかく何でも良いので話し掛けてみる。
「マコト先輩。今日行く場所ってどんなところなんですか?」
「ああ、随分前に滅んだっていう廃集落だよ。何でも集落皆殺しの事件があったらしい。殺人犯も自殺して発見までえらく時間が掛かったとか。さすがにもう遺体とかは無いらしいけど家屋とかそのままらしいから当時の凄惨さが生々しく残っているらしいよ。」
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