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設定は様々だったけど、今日だけで三本見たのだ。さすがに殺し合う展開はキモと言えるし、その演出の派手さとか、血飛沫とか……最後の内臓ぶちまけてたし。ああいうグロテスクなのはどうにも苦手だ。
「でもいい悲鳴だったな。男性らしい太くて力強い声。変に女々しくないのがいいね」
「またその話?」
「何度でもするさ、それが俺にとってメインなんだから」
この腐れ縁――名は三木空也(みきくうや)というのだが――が遮光カーテン買ってまで家で映画を観まくる理由。悲鳴マニアというか悲鳴評論家というか、「悲鳴の演技」を堪能するためだと言う。
さすがに防音加工できるほどの財力は高校生にはない。でもだからって、「少しでも悲鳴に集中したいから」って、遮光カーテンを購入するって何なの? こいつの趣味は理解はすれど共感はできない。
まあ、私も俳優さんの演技が好きなときとかあるし、映画を見るなかで確かに「この人の悲鳴はリアリティーがあってすごい」と感心することはある。こいつのはそのこじらせたバージョンってことだろう。
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