酩酊シャウト

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 同じ高校でも、クラスは別。部活も別。今日は偶然休みが一緒だから付き合っただけ。ご近所だから腐れ縁――誰かに聞かれる度に用意してきた答え。間違いは何もない。  めんどくさい感情を抱えたと、我ながら思う。 「帰るだろ? 送るよ」 「送るって……近所でしょ」 「外暗いし、さすがに一人では帰せないって。まだまだ語り足りないこともあるし」  そっちが本音か。諦めて三木の提案を呑むことにした。一人では危ないから送っていくだけなら、紳士的と言えなくもないのに。  痺れかけた脚をマッサージし、身支度を整える。鞄ひとつで押し掛けたからさほど時間はかからなかった。遮光カーテンは窓を隠したままだけど、きっと外も大差ない暗さだ。  案の定、三木宅を出ると辺りは真っ暗だった。 「うわ、家に入ったときは日も高かったのに」 「六時間缶詰めコースだったからね。でも有意義な時間だった」  達成感に満ちた表情をするこいつの笑顔は、嫌いじゃない。
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